EY調査、不確実性や市場の変動性が高まる中、世界のIPO市場は回復力を維持

・第3四半期累計で、AmericasとEMEIA地域の双方が件数と調達額ともに前期比2桁成長を記録

・2024年第2四半期と比べて、世界のIPOの調達額は12%減少したが、Asia-Pacificの第3四半期の回復が世界のIPO件数11%増加に貢献

・IPOパイプラインは、世界中からのAIに対する関心を色濃く反映

 

EYは、2024年第3四半期(以下、3Q)のIPOに関する調査結果を発表したことをお知らせします。世界的経済が減速し、市場の変動性、地政学的な変化や金融緩和の中、2024年第3四半期(以下、3Q)における世界のIPO市場は慎重な楽観主義の兆候を示しています。前年同期比では、IPO件数が14%減少し310件に、調達額は35%減少で249億米ドルとなったものの、IPOのローンチに関しては3Qは控えめながら2024年1Qおよび2Qを上回りました。

 

3QのIPO活動は、世界的な金利緩和サイクルの開始を特徴とする複雑な経済的および地政学的状況を乗り越え、市場変動の高まりに対処しました。これらの困難にもかかわらず、Americas(北米・中米・南米)およびEMEIA(欧州・中東・インド・アフリカ)は2024年第1~第3四半期で回復力を示し、EMEIAのIPO調達額は前年同期比で45%も増加し、世界市場の全体的な低迷を和らげました。これらの調査結果は、EYの四半期レポート「EY Global IPO Trends Q3 2024(以下、「本調査」)」に掲載されています。

 

近年、プライベートエクイティ(PE)およびベンチャーキャピタル(VC)による出口活動が持続的に低下していることから、収益化の準備をしているポートフォリオ企業が増えています。現在の評価水準が、成熟した高価値のポートフォリオ企業の公開市場への投入にとって有利になるにつれて、PEが支援するメガIPOやVCが支援するユニコーン企業の復活が具体化してきています。2024年初めから9か月間において、世界のIPOのトップ10のうち6件がPEおよびVCが支援するIPOであり、世界のIPOの調達額の3分の1以上を占めています。Americasにおいては、これらのIPOが資金調達総額の52%を占め、現在のIPOの状況から脱したいPEおよびVE企業の強い意欲を明確に示しています。

 

クロスボーダー上場においても著しい上昇がありました。本年初めから9か月間で77社が国外での上場を選択し、これは、前年同期の64社と比べて20%の増加となります。2023年から米国の証券取引所におけるIPOのおよそ52%を外国の発行者が占めており、20年ぶりの最高値となっています。同時に、今年の米国と中国間の株価実績は対照的で、2国間の市場価値の差異は3Qに過去最高を記録しています。

 

Asia-Pacificが安定する中、AmericasおよびEMEIAは回復

上半期におけるAsia-Pacific(アジア・パシフィック)のIPOの休止に起因する世界的な公募の減少にもかかわらず、2024年現時点までにAmericasおよびEMEIAは取引件数と調達額の両方で前年同期比で2桁成長を見せました。米国およびインドのIPO活動は、一般的には静かな四半期にも、著しく高い水準を維持しました。インドは3Qに100件以上のIPOを開始し、過去20年にわたる四半期の中で公募が最高水準を記録しました。

 

Asia-Pacificは、3Qに顕著に好転しました。以前の活動の減速を乗り越えることで、当該地域は世界のIPO件数において前四半期比で11%の増加に貢献しました。中国本土、インドネシア、マレーシアおよび韓国における活動の増加を特徴とするこの回復は、不確実性が高まる時期に世界市場に自信を与えました。

 

AI企業が投資家の関心を引く

過去2年間にわたり、毎年60社以上の人工知能(AI)企業が上場し、そのうちおよそ半数が利益を上げています。現在、およそ50社のAI企業が上場申請中であり、AI主導のイノベーションに対する投資家の持続的な関心を示しています。

 

2024年第4四半期の見通し

2024年の残る期間のIPO市場は、中央銀行の政策、地政学的発展および重要な選挙の結果などの影響を受けるものと予想されます。楽観主義が低金利とインフレの緩和によって加速し、新規上場や借入コストに敏感なセクターの活動再開を促進する見込みです。米国、欧州およびインドなどの主要市場における好調な業績が、IPO活動を後押しすることが期待されています。クロスボーダー上場の成功は今後続くことが見込まれ、特に重要な株式市場へのデビュー(特にPE企業によって支援され、スピンオフやカーブアウトからのデビュー)は企業が有利な上場機会を求める中で今後が期待されています。

 

EY Global IPO LeaderのGeorge Chanのコメント:

「投資家は、より不安定となるであろう2024年下半期に向けて備えています。インフレと金利が減速するにつれ、IPOの決定に影響を与える新たな要因が浮上します。不確実性が高まるこの環境では、タイミングの良い市場参入と説得力のある株式の説明が、IPOの機会を活用しようとしている企業にとって極めて重要です」

 

EY Japan IPOリーダー/EY Startup Innovation共同リーダー/EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター長の齊藤 直人(さいとう まさと)のコメント:

「2024年第3四半期累計に関して、日本のIPO件数は、昨年の66社よりも12社減の54社となりました。そのうちグロース市場への上場は45社(全体の83%)となりました。依然としてIPOマーケットの低迷が継続している状況となっていますが、第3四半期には、公募時価総額が1,300億円を超えるワーカー向けマッチングアプリの提供企業が上場しており、成長期待の高いスタートアップには資金が集まっています。第3四半期までプライム市場への上場はありませんでしたが、第4四半期には、数件予定されています。なお、2024年通期では、90社前後の上場が見込まれる予定です(2023年通期は、96件)」

 

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410258805-O1-mLnocIY4

 

2015年から2023年は通年のデータです。出典:EY、Dealogic

 

全世界のセクター別IPO件数

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101776/202410258805/_prw_PT1fl_d2Vpu796.png

出典:EY、Dealogic

 

全世界のセクター別IPO調達額(10億米ドル)

【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101776/202410258805/_prw_PT2fl_dG61MYqH.png

出典:EY、Dealogic

全世界のセクター別IPO件数及び全世界のセクター別IPO調達額は、3Q累計データです。

 

 

※本ニュースリリースは、2024年9月26日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

 

英語版ニュースリリース:

Global IPOs remain resilient amid elevated uncertainty and market volatility | EY - Global




 

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<データについて>

本レポートに示されたデータは、ey.com/ipo/trendsでご覧いただけます。2024年3Qとは、2024年の第3四半期のことを指し、そのデータは、2024年7月1日から9月16日時点で完了しているIPOおよび2024年9月30日までに完了すると予想されるIPO(2024年9月16日における予想)に基づいています。2023年3Qとは、2023年の第3四半期のことを指し、そのデータは、2023年7月1日から9月30日時点で完了しているIPOに基づいています。2024年Q1-Q3とは、2024年初めから9か月間のことを指し、そのデータは、2024年1月1日から9月16日時点で完了しているIPOおよび2024年9月30日までに完了すると予想されるIPO(2024年9月16日における予想)に基づいています。2023年Q1-Q3とは、2023年初めから9か月間のことを指し、そのデータは、2023年1月1日から9月30日時点で完了しているIPOに基づいています。レポートに含まれるすべてのデータは、特に断りのない限り、Dealogic、 S&P、Capital IQ、 Mergermarket、Oxford Economics、Refinitiv、Pitchbook、およびEYを出典としています。本レポートで使用したDealogicのデータは、IONがライセンスを保有し、当該データに関するすべての権利をIONが保持しています。 SPAC(特別買収目的会社)によるIPOは、特に記載のない限り、本レポートのすべてのデータから除外されています。


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